君と、優しくて愛しい日々を。


…あれが、彼氏。

私の、彼氏。


頭のなかで繰り返しては、ハッとして、勝手に一人で顔を熱くさせる。

…馬鹿みたいだ。ほんと、乙女か、私は。


やがて前半の残り十分が始まり、私の目はまたコウばかりを追い始めた。

一年でレギュラーなんだから、やっぱり彼は上手い。

二年のキャプテンからパスをもらうと、すいすいと綺麗に相手の間をくぐり抜け、一気にゴール下へ迫っていく。

すぐに相手の手が邪魔をしようとしたが、コウは器用に身体を動かし、そのままシュート。

ストッといい音をさせて入ったボールに、試合を見に来ていた他の生徒達も、わーっと盛り上がった。


それからコウは、スリーポイントを一本、ツーポイントを二本決めた。

そして前半が終わる二分前、コウがまたシュートを打った。

ボールは、リングを通らない。

けど、私の目が捉えたのは、そこじゃなかった。

コウの、左足。

シュートから着地した直後、コウは一瞬だけ顔をしかめた。



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