君と、優しくて愛しい日々を。


「今日は、遊園地だったよなぁ。こっからバス乗ってー、…あー、今何時だ」


腕時計を確認する彼を、ちらりと見上げる。

…髪、ちょっと伸びた?

会う度に大人っぽくなってくナツに、私はいつもドキドキする。

周りを見回して、ここがよく自分の利用する地元の駅なんだと思うと、不思議な感覚がした。

…ナツと、私の地元で会ってるなんて。

見慣れてる駅の光景だって、なんだかキラキラしてるよ。


「未海。バスまでまだ時間あるけど、どうする?」


パッと、ナツがこちらを向く。

その瞬間、私の手元の携帯から、シャッター音が聞こえた。


「……え?」

向けられた携帯に、ナツはきょとんとしてる。

私の携帯には、ちょうどこちらを向いたナツと駅の風景が映っていて。

私は、アハハと笑った。



< 32 / 86 >

この作品をシェア

pagetop