君と、優しくて愛しい日々を。
「…あのときから、俺、おまえのこと好きだったのかもなぁ」
「……へ?」
「あの夏から、告られても断ってたの。なんでだと思う?」
涙に濡れた瞳で、ナツを見上げる。
何年も憧れ、焦がれた変わらない笑顔が、そこにはあった。
「…俺だって、ずっとお前のこと考えてたよ」
…眩しく揺らめく、海も。
青くて広い空も、ここにはないけれど。
私の瞳に、君はキラキラ輝いて映ってる。
「…ほんとうに…?」
「本当に。その次の夏も、今年の夏も。未海は変わんなくて、まっすぐでさ。…さすがに俺も、参ったよ」
今年の夏、ナツは私に『好きだ』と言ってくれた。
そのとき、『俺のことなんかすぐに忘れると思ってたのに』とも、…言ってた。
もしかして、ずっと、我慢してた?
「…ナツも、私と会えない間、私のこと考えてた?」
「考えてた。連絡先聞けばよかっなぁとか、次の夏も来んのかなぁとか、考えてたよ」
…おんなじ、だ。
ず、と鼻をすする私に、ナツは嬉しそうに笑う。
私の手を引いて、近くの公園に向かっていく。