君と、優しくて愛しい日々を。
「気づいてたんだ、ありがと。さすがだね、麻佑」
………ばーーか。
私は、つんと唇を尖らせた。
「…幼なじみ、だし。何年あんたのバスケ見てると思ってんの」
すると、コウは目を細めて、「違うよ」と言った。…え?
「『彼女』だから、でしょ」
「!!」
私だけでなく、近くでシュートを打っている男子達も、驚いてコウへ振り返る。
顔を赤くした私を見て、コウは満足気にニッコリと笑った。
な、なにこいつ、ウザっ!!
「べっ、別に、そーゆうんじゃ…」
「なーにいちゃついてんだ、コウ?」
そう言いながら、怖い顔をしてコウの背後に現れたのは、二年の先輩だった。
…ああ確か先輩、この前彼女にフラれたって………
思い出して、とてもとても申し訳ない気持ちになった。すみません。
「オラ。後半の動き、確認するぞ」
先輩に引きずられ、連れていかれるコウ。
その姿を呆れながら見ていると、目があって、「麻佑」と呼ばれた。