君と、優しくて愛しい日々を。


「色葉ちゃーん、ここ、線引いてもらっていい?」

「うんっ」


男子に言われて、黒のマジックで一本線を引く。

…早く、終わらせたい。

それで、今夜は電話をかけるんだ。

すっごく恥ずかしいけど、もっともっと純くんと近づきたいから。



「わ…雨、降ってるね」

一生懸命頑張ったからか、委員会の仕事は予定より早く終わった。

一緒に仕事をしていた男子と、ふたりで靴箱へ向かう。

人の少なくなった校舎の外は、雨が降っていて。

…傘、持ってきてないや。

どーしよ…


「色葉ちゃん、傘持ってる?」


ぎくっ。

こ…ここで『持ってない』って言ったら…まずいよね。

相手は、しっかり傘を持ってる。


「えーと……」

「ないんだったら、家まで送ってくよ」


に、と爽やかな笑顔でそう言ってくれる、親切な男子。

うう…そりゃ、彼氏がいないときだったら、よかったけど。

万が一誰かに見られでもしたら…まずい、よね。



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