君と、優しくて愛しい日々を。
純くんは、必死に私から目をそらす。
それが面白くて、私は笑いながら男子に「バイバイ」と言った。
*
「だって、傘が濡れてないんだもん。さっきまで外にいたんなら、びしょ濡れのはずでしょ?」
大きな黒い傘に、ふたりで入る。
私がニコニコしながらそう言うと、純くんは眉を寄せて「アホのくせに、そんなとこだけ気づくなよ」と言った。
「いーじゃん。アホだけど、大好きな人のことくらいは、気づくんだよ」
純くんは驚いたように私を見ると、やっぱり赤い顔でムッとする。
私はそれを、目を細めて見つめた。
…今日は、形勢逆転かなぁ?
「…なんで、待ってくれてたの?」
さっきよりも小降りになった雨が、傘を濡らす。
純くんは前を向いたまま、「…なんでだと思う?」と言った。
私はジッと純くんを見つめて、わざと考えるような顔をする。
余裕ある格好いい純くんの顔が、だんだんと赤くなっていくのを見ながら、ふふ、と笑った。