大切なモノ
それから程なくして彼氏ができて、でもなんだか違うなあって思って別れて、そんな事を繰り返すうちに、私は恋愛に向いてないのかもって思うようになった3年生の夏には、シングルライフを楽しめるようになっていた。


「美優、ゆかりとケンカしたって?」


移動教室の途中で康介に捕まった。


「たいした事じゃないよ。ゆかりがうるさいからお灸すえてんの」

苦笑いする私にプハッて吹き出しながら、私のおデコをパチンと叩いた。


「あまりいじめないで。許してくれないって、この世の終りみたいな顔してたから」


康介は、優しい。


ゆかりがちよっとワガママしても笑って許せるくらいの包容力もある。

だけど、ゆかりが変わってく。


このままじゃ、自己中な子になっちゃうんじゃないかって心配になる。
お姫様になってしまった女の子は厄介だ。
私はゆかりにそんなふうになってほしくない。



「心友として愛のムチよ。」


「ククッ 美優って変わってるよな、美人なのにもったいない」

「何気に失礼ね。 ま、褒め言葉と相殺されてプラマイゼロか。あ、行くよ私」


「おお、ゆかりの事よろしく〜」


「はあい」


て、付き合いは私のが長いんですけどね。


……余計なヤキモチね、これ。
私が康介にヤキモチやいてどうすんのよ、心友と彼氏は別モノだっての

バカみたい。

ほんと、今更寂しいって思うなんて……
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