トナカイくんとハッピークリスマス!
「オレが一方的に見てただけだから。可愛いなって」
照れもなく言ってのけた先輩。
言い慣れてるのかなって変な勘ぐりを入れてしまう。
「…あ、ありがとうございます」
でもやっぱり可愛いだなんて言われるのは嬉しくて、照れを隠すように口元までマフラーに顔を埋めて小さくお辞儀する。
先輩はそんなあたしの様子にちょっと満足げに微笑む。
「だからね、近々キミに告白をしようと思ってるんだ」
「……」
この流れは…
「これ。オレの事とキミへの想いが書き込んである」
そう言い差し出されたのは水色の封筒。
「これを、――お兄さんに」
あー…、やっぱり。
封筒には“戸田翔太様”と書かれてあった。
「あの先輩、悪いんですけど…」
「じゃ頼んだよ」
言いかけるけれど先輩は言葉を遮り、あたしに手紙を押し付けて走っていってしまった。