トナカイくんとハッピークリスマス!


「……」



1人残されぴゅっと風が吹く。


また貰っちゃったよ、お兄ちゃんへの手紙…。


“戸田翔太様”と書かれた封筒を見下ろし、予想していた展開通りになってしまったことにあたしは深く深くため息をついた。


もう、これもすべてお兄ちゃんのせいなんだから。



寒いし、教室戻ろ…。


封筒をポケットに突っ込み方向転換した時だった



ダンッ、ダンッ

ダンッ、ダンッ



体育館からボールの弾む音が聞こえてきたんだ。



――バスケ…?



音に吸い寄せられるように閉めきられた体育館の中を覗くとバスケットボールを床に打ち付けてる1人の男子生徒がいて、



「――あっ…」



その男子生徒に思わず声を上げた。



「峰岸くん…!?」



そう。それは峰岸翼くんだった。


ボールの感触を確かめるように床に何度もボールを打ち付ける。


なにしてるんだろ。


峰岸くんバスケ部じゃなかったはずだけど…


息を潜めて彼の行動を観察する。


盗み見なんて趣味じゃないけど、どうしてか気になってしまったんだ。


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