切れない鎖
モノローグ

ぱらり

と、本をめくる。

ぱらり


ぱらり



ぱらり





ぱらり……

だんだん読む速さが遅くなってくる。

ずっと、少年の事を考えているからだ。

あの黒い髪の毛の少年。

出会って半年で一生の別れ。

ならば、最初から会わせなくてもいいのに。

一瞬だけそう思ってしまった。

いや、会えて、よかった。

少年のお陰で一人ぼっちの世界から抜け出すことが出来た。と思う。

少年が来る度にドキドキして、ワクワクして。

少年の話を楽しみにしていた。

自分の知らない外の世界のことを沢山教えてくれて。

いつもいつも、長い階段を登って会いに来てくれてありがとう。

沢山の話をしてくれてありがとう。

猫を見せてくれてありがとう。

私と出会ってくれて、ありがとう……。
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