切れない鎖

「ただでさえお前の足は不自由なんだ。お前に何ができる?」

優輝は、唇を噛んだ。

そして、ゆっくりと、家族を見た。

「僕が行かなきゃ、駄目なんだ。僕が行かなきゃ、あの子はもう、救われない。だから、僕が行くんだ」

「優輝さん……」

咲の顔が、悲しそうに歪む。

優輝は、杖を握り締めた。

(家族を悲しませるのは分かってる。それでも、僕が行かなきゃいけないんだ!)

そんな優輝の顔を見て、母の顔も悲しみに歪んだ。

「優輝さん。本当なら、私は貴方を危険な目に合わせたくない。貴方は、私の大切な、大切な息子なのです」

優輝ははっとした。

この言葉は確か……。

『貴方は私の大切な、大切な弟なのです。大切なんです‥‥‥』

咲だ。

優輝が初めて咲を怒鳴った時。
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