切れない鎖

遡ること2ヶ月前。

「えぇ!?僕が留学!?」

優輝は大声を上げた。

「お前は勉に長けているからな。第二次世界大戦で朽ち果てた我が家を建て直す知識でも身に付けて戻ってこい」

父はそのまま背中を向けてしまった。

「お、お父様も考えあっての事ですよ。沢山知識を身に付ける良いときではありませんか。優輝さん」

母が取り繕うように言う。

第二次世界大戦が終結して十五年。

名家の我が家は十五年前、本来の家に戻ったとは言いにくい家に住んでいた。

それでも他の家よりは大きく、住心地も良い。

それに優輝が産まれた年なので、優輝には元々の家の記憶がない。

「家は、このままでも良いと思うのですが」

流石に反論した。

尊敬している父でも、言っていることに納得がいかない。

「それに留学って、どこに行くのですか?」
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