イクメンな彼氏
藤本さんに送ってもらってから悠斗さんに距離を置きたいと言われたことを打ち明けると、彼女は「やっぱり……」と暗い顔で俯いた。

しばらくの沈黙の間耳に届くのは悠理花ちゃんがおもちゃで遊ぶ音だけで、理久さんがソファーの前のローテーブルにコーヒーを置き、悠理花ちゃんを抱き上げる。

何かを決心したような強い目で悠斗さんのお母さん―悠美子さん―が顔を上げた。その肩越しには彼女を心配そうに見守る理久さんがいる。

以前悠斗さんが言っていたように、二人はとてもいい関係なのだろう。
理久さんの温かい瞳はそれを物語っていた。

「本当は私から話すことではないかもしれない。でもあなたには聞いて欲しいの。

悠斗は私に似て、本当は臆病だから……」

完全に息子を心配する母の顔になった悠美子さんは、伏し目がちながらもはっきりとした声で話し出す。

悠斗さんのような大きな息子がいるとはとても思えない外見だけれど、彼の事を想っていることは疑いようがなかった。

くっきりした二重瞼の下の大きな黒目が悠斗さんによく似ている。

悠斗さんも悠美子さんも、臆病だとはとても思えない。私は疑問を感じつつも、口を挟まずに耳を傾ける。
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