イクメンな彼氏
「悠斗の父親のことは知ってる?」尋ねられて、以前お父さんのことを聞いた時の彼を思い出した。

「いないと……そう言っていました」
あの時彼は、妙に冷たい目をしていた気がする。それに何も聞くなと言いたげに背を向けた。

「そう、でしょうね。
悠斗は父親を憎んでいるから」

お父さんを憎む……?

優しくて温和な彼が誰かを憎む姿は想像できない。悠理花ちゃんにだってあんなにも優しくできる人なのに。

困惑した私の表情を読み取ったのか、彼女は迷っているように目を泳がせた後伏せる。

私の頭の中は悠斗さんのことをもっと知りたい気持ちでいっぱいになった。

だけど私の口から出てきた言葉は「私、悠斗さんから直接聞きます」だった。

悠斗さんのお母さんが私に話したいことが何なのかは想像もつかないけれど、悠斗さんのいない所で聞く話ではない気がする。

悠斗さんのお母さんは大きな目をさらに大きく見開いて私を見つめ、ふっと笑った。

「そう……その方がいいわね。あなたは本当に強いのね」
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