イクメンな彼氏
『green express』に向かう道では、久しぶりの蝉の鳴き声が耳につく。悠斗さんと出逢ってから一年が過ぎた。

出逢った頃にはこんな風になるとは思わなかった。8ヶ月だった悠理花ちゃんも1歳
8ヶ月になって、悠斗さんと手を繋いで歩いて階段をよちよち登るようになった。

休日の今日はゴールデンウィークに葉月と訪れたショッピングセンターで悠斗さんと買い物。

オープンしてから3ヶ月になるけれど随分と込み合っている。

悠斗さんはシンプルなモノトーンの服が好きだ。スタイルのいい彼にはもちろん似合うんだけれど、もっと明るい色を着てもいいのになぁ、とよく思っていた。

「ねぇ、悠斗さん。
こういうのどうかな?」

エメラルドグリーンのポロシャツを勧めるけど、「うーん」とあまり気乗りしない返事。
夏になって少し日焼けした悠斗さんのくっきりした顔に似合うと思うんだけどなぁ。

「比奈、あれいいんじゃない?」
悠斗さんが指差したのは、マネキンが着ているショッキングピンクのニット。

「う、うん」
この頃は頑張って着ることも増えたけれど、明るい色は苦手な私。しかも悠斗さんってば女の子らしいデザインが好きなんだよね。

高校までは好きだったけれど、大学生になってからは甘い服は着なくなった。
目立つのが嫌だったし、男の人に媚びを売るようで怖かった。
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