イクメンな彼氏
だけど悠斗さんが勧めるなら着ようかな、と手に取ってみる。

「うーん」と悩んで「やっぱりやめる」と言ったら、彼が残念そうな顔をした。

「何で?可愛いのに」
端正な顔が崩れるのも気にせず口を尖らせる彼を引っ張って、「今日は悠斗さんの服を買いに来たんだよ」とメンズのショップに足を踏み入れる。

「そうだけど、比奈の服を選びたいのに」
拗ねてる彼は放っておいて、ニットやTシャツを選んでいく。

悠斗さんはいつもこう。
買いものに行っても私の服ばっかり買って、自分のは一人でこっそり買うの。

私が選んだ服より自分で選びたいのはわかるけど、たまにはイメチェンさせてみたいよ。悠斗さんなら、何着たって似合うんだから。

「ん、じゃー、お金下ろして来るよ」
私の剣幕に根負けした彼は、ATMに行こうと言い出す。

私の服はカードですぐ買っちゃうくせに、時間稼ぎなんだから。
でも今日は絶対折れないからね、と決心して、エスカレーターに足を載せる。

ATMは、確か1階だったはず。
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