恋愛温度差
「あかりちゃん?」と黒崎さんが不思議そうな声をあげた。

「わたし、あたたかい飲み物は大丈夫です。それよりお腹が減っちゃって」
 わたしは黒崎さんの腕を外すと、窓から離れた。

「君野くんに教えてもらったんです。美味しいお鍋のお店を……ずっと逃げ続けてることも。怖くて目をそらし続けてて、結果の出ない世界に逃げ込んでたことも。好き……って言えなくて。親友の妹で優しくしてもらってることに甘えてて。黒崎さんが好き、です」

 つじつまの合わない言葉の羅列を言い放ったあとに、ハッと息をのんだ。

 告白してしまった。
 するつもりだったのか。そうじゃなかったのかすら、自分でもよくわからない。

 言わなきゃ。今、言わなければもうきっと言う勇気が出ないんじゃないか、と思って。

 思いつく言葉をどんどんと声に出していた。

「あかりちゃん……」
「あっ! 待って。答えなくていんです。聞きたくないとかそういうんじゃなくて。今はもっと好きな人がいるんです」

 わたしはにこっと笑って肩をすくめた。

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