空色ユニフォーム




幼い頃、一度だけわたしはあの女に抱きしめられたことがある。
あの女が家に連れ込んだ若い男が、わたしに とある犯罪を犯したときだ。


その若い男は、世に言うロリコンだった。



その事実が発覚してすぐに、わたしはあの女の酒臭い からだに抱きしめられた。



「ごめんね」


そう言っていた気がする。







だけど、それっきりだ。





あの女がわたしを抱きしめるのも、
優しく微笑むのも、
手を握ってくれるのも、



…それっきり。




わたしがあの女に嫌われた理由など知る由もない。
だけど幼いながらに、あの日わたしを抱きしめてくれた”母親”は、わたしをちゃんと愛してくれている。そう確信していた…信じていた。


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