あのね、先生。

…でも、ほんとにダメなんだ。

ほんとに、1年以上経った今でも気を抜いたら無意識に考えてしまう。


やっぱり卒業式のあの日、ダメだって分かってても行けばよかった。

行かないのが正解だと思った。

だって多分、茉央ちゃんは「今までありがとうございました」なんて言って加地くんのとこに行くと思ったから。

それならいっそ会わずに終わってしまう方が楽だと思ったんだ。


…多分、間違えたな。

笑った顔も拗ねた顔も泣きそうなのを我慢してる顔も、近くで見てたのはたった数ヶ月だったけど、それでも目に焼き付いていつまでたっても離れない。

だったらどうして手放した。

なんて、責められても何も言い返せない。バカなことをしたと自分でも思う。

大事なことは何も言えなかった。言わずに伝わるわけないのに。

だからこんな終わり方しか出来なかった。

こんな風に気持ちを引きずってしまった。
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