あのね、先生。
そういえば、優真は先生に振られた時も同じことを言った。
自分のことを好きじゃなくてもいいからって。それでもいいから、傍にいてほしいと言った。
あの時、その言葉でどれだけ救われたか。
この人を大切にしよう。
そう思ったのは、決して嘘じゃない。
先生を忘れて、優真のことを好きになろうと決めたはずだった。
…あの時先生の姿を見つけなければ、あたしは今ここで、こんな気持ちで優真を待っていないだろう。
だけど、先生の姿を見つけたとき、ダメだなんて考える前に走り出してしまった。
それはきっと、あの時じゃなくたって同じだったと思う。あたしはいつだって、無意識に先生の姿を探してた。
似てる人を見つけると、優真の声が耳に入らないくらいジッと見つめてしまった。
…その人が先生じゃないって分かると、胸が痛んだ。
いつまでも引きずってしまっている自分と、それを分かっていて何も言わなかった優真の優しさに。