誤解から始まる恋もある?
「あ、いえ……その……」

金城副支配人の挙動不審な目が私の目を捉え、『振り向くな』と訴えてくる。

その異常におどおどした態度に、どうしてなんだろうと首を傾げる。店内は薄暗いから、イケメンには私が今朝レストランで会った従業員だとはわからないかもしれないのに。

それでも、金城副支配人の額からはものすごい量の汗が垂れはじめている。

こんな時間に奥様ではない女と一緒にいることがバレたら、本社の上層部に密告でもされると思っているのだろうか?

金城副支配人とイケメンは知り合いのようだから可能性は低いかもしれないけど、イケメンが金城副支配人を軽蔑して、事実を上層部へ伝えてくれたら……と一縷の望みを覚える。

そうしたら、セクハラされたことをちゃんと説明してホテルに残れるかもしれない。このまま入社取り消しになったら悔やんでも悔やみきれない。いっそ金城副支配人が解雇になればいい、とさえ思ってしまう。

金城副支配人の思いどおりにはいかせないんだから。

振り向こうとしたとき、金城副支配人がうわずった声で話しはじめた。

「い、いえ、妻ではないんです。今夜はレストランのアルバイトに呼びだされてしまいまして」

その言葉に耳を疑った。

「なにを言っているんですか!」

怒りで立ち上がると、金城副支配人は一瞬気まずい顔になったものの……。

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