私に恋をしてください!
神戸は俺との話に淀みなく、的確に答えて行く。
さすがはカリスマ書店員と言われているだけある。
いつもどうしたら本が売れるのか、どんな人にどの本が実際に売れているのかを考えている。

『ところで、どうなのよ、葉月ちゃんとは』
「え?」

仕事の話から、突然葉月の話になり、俺は即答できなかった。

『クリスマスも、お正月もあるよね。クリスマスはともかく、お正月は柳井くんも実家に帰るだろうから、葉月ちゃんも寂しいわよねぇ』

正月に実家?
確かに帰っているけど、葉月が寂しがるなんて考えなかった。

「寂しい?だって葉月には家族がいるじゃん」
『そういう問題じゃないの。あ、私ちょうど休憩の時間だからこっち来てよ。少し時間あるでしょ?』

と、神戸に強引に連れて行かれたのは、先日も来た従業員食堂。
お茶を用意してくれた神戸のお腹は、ますます大きくなったような気がする。

『22週目。6ヶ月目ってところかな。だからこれからますます膨らむよぉ』

そう笑いながら神戸は椅子に座る。

「何か、顔も丸くなったような気がする」
『そうかな。あんまり太っちゃいけないんだけどね』
「いや、太ったっていう意味じゃなくて、幸せそうだなって思うんだ」
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