私に恋をしてください!
★彼女との出会い~side SORA~
俺は、女の子に火傷を負わせてしまった。

目の前の小さな女性。
スーツを着ていなければ、中学生に見られてもおかしくないくらい、小さくて、色白。

ところが受け取った名刺を見て驚いた。

【株式会社 龍成社 営業局 販売五部 清水 葉月】

「しみず、はづき、さん?」
『はい』
「可愛いお名前ですね」

さっき、俺の名前を褒めてくれたから、俺も褒め返さないと・・・と思ったけど、葉月という名前は何となく彼女の風貌に合っていると思ったから、自然な褒め言葉になった。

それにしても・・・龍成社の社員かよ。
それがなぜ、17階のフロアにいたのかは置いといて、彼女は、俺の高校の同級生である高松遥香の隣の部署の所属だ。

"高松と同級生なんだよ"と言おうと喉まで出かかったが、今は自分の話をしている場合ではないと、言葉を飲みこんだ。

俺は、彼女の上着を脱がせ、医務室内にある流し台で少し濡らしたタオルを使ってコーヒーで汚れた部分を叩いた。

弁償はするものの、とりあえずこれを着て彼女は自分の会社に帰らなければならないから、応急措置だ。

ある程度落とし終えた後、弁償をするための次のアポイントを試みた。
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