私に恋をしてください!
『私は葉月に門限を設けてでも縛り付け、私達の繋がりを葉月の存在を利用して維持しようとしていたんだ。そして久美子には嫌われないように、私がなるべく家にいないようにして自由にしてあげることが最良だと思っていたんだ』

お父さんはソラを一瞥した。

『健吾くんから先にソラくんの存在を聞いた時、私の中で封印していた思いが表面化した。久美子、あの時私は勢いで社長にお前と結婚すると言ったわけではない。計画と自覚を持って宣言したんだ』
『え、ちょっと何の話よ。私はあなたに望まれて結婚したと言うこと?』
『そうだ。しかもちゃんと恋情を持ってね』

すると、お父さんに体を向けていたお母さんは、正面にいる私の方向に向きを変えて、俯いた。

『何を今更』

そう言ってお母さんは唇を噛みしめた。

『白々しいのよ。何で早く言ってくれなかったの?今まで自分の気持ちを何も吐き出さなかったのは自分のプライドを保つため?とにかく、今になって葉月が生まれる前の心情を話されたって、信じるわけがないじゃないの!』
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