私に恋をしてください!
『これからの葉月は、ソラくんに任せる。その上で私は、葉月を使って家族の関係を保とうとする卑怯な今までのやり方から卒業しなければならないと思っている』
『卑怯って、葉月は自分の娘なんだからあれこれ言うのは当たり前でしょ?』

お母さんはお父さんの言うことに疑問を抱いていた。

『そうじゃないんだ』

そう言うとお父さんは持っていいたワイングラスをテーブルの上に置いた。

『葉月を箱入り娘に育てるつもりなんて元々全くなかった。しかし、葉月が私の元からいなくなれば、お前との繋がりを失い、会話をするための話題もなくなってしまうのが、怖かった』
『何です?どういうこと?』

お母さんはにわかにお父さんの言うことが信じられない様子。

『葉月がいつまでも家にいれば、お前と私がここに暮らすことの意味があると思ったんだ。しかし将来的に葉月が結婚をして家を出てしまうとふたりだけの生活になる。そこに一緒に暮らすことを有意義に久美子が感じてくれなくなった時、離婚や別居と言われることを、私は常に恐れていた』
『そんなこと、今更…』

お母さんは上手い言葉が見つからないようだ。
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