私に恋をしてください!
『日替わりランチを2つ。ひとつはごはん大盛りでお願いします』

ごはん大盛り?

「体が小さいのに、よく食べるんですね」
『ごはん大盛りは、ソラさんの分ですよ。ここは女子向けのメニューで、男性は間違いなく足りないですから』

姿格好は中学生なのに、やっていることは大人だ。
男慣れしているのかな?と勘繰るが、マンガの作品を見る限り、それはあり得ない。

「腕は、どうですか?」
『大丈夫です。家族には大分心配されましたが、今日朝一番で皮膚科に行って塗り薬を処方してもらいました』

それからはランチが来るまでの間に、俺は作品の感想を述べた。
すると彼女は"やっぱり、そうですよね"と呟いて、俯いた。

「がっかりしないでください。きっと貴方は、男性にきちんと恋心を抱いたことがないんですよ」
『私が恋、ですか?』
「少女マンガは大抵、男女の恋情が描かれています。それなのに、描く作者自身にその経験がなくては、リアリティーに欠けた作品にしかならないですよ」

俺の言葉に、彼女は考え込んでしまったようだ。

『実はこの作品を、隣の部署の部長と先輩の女性社員に見せているのですが、ソラさんと同じようにリアリティーがなくて物語が繋がらないと言われてしまうんです』

ここで、ランチがテーブルに置かれた。
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