私に恋をしてください!
最近は、こういう展開でお父さんとお母さんは険悪な空気を作ってしまうことが多い。

『お前は私の意見に反対なのか?』
『娘には"理想の恋愛"を貫いて欲しいもの』
『私も娘には"幸せな結婚"を望んでいる』
『私は貴方との結婚生活が幸せだとは思っておりません!葉月、ごはん食べなさい』

私はいつもの展開に呆れつつ、お母さんに従ってダイニングに用意されていた夕食を食べ始めた。

お父さんはすぐに書斎に籠ってしまい、お母さんはキッチンで洗い物をしている。

『葉月、お父さんの言うことなんて聞かなくていいんだから』

お母さんは明らかに憤慨している。

「うん。でもまだ隠さなくちゃならないようなデートをしたことないし」

今日のソラとのお出掛けはデートとは言い難い。
でも、キスされたから、そうなのかな?

いや、彼は私に火傷を負わせた罪滅ぼしで、私のマンガのスキルアップのお手伝いをしてくれているだけだ。

お母さんがさっき言っていた"理想の恋愛"って何だろう。
私は男性を好きになったことがない。
だから理想なんて、ない。

ご飯を食べてお風呂に入り、部屋に戻って携帯を見たらメールが届いていた。

…ソラだ。

―"今日は楽しかった。ありがとう。またデートしようね。次までに行きたい所を決めておいてね"―
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