私に恋をしてください!
ソラは一向に車から降りようとしない。

『夜のドライブで恋人たちが車の中ですることの定番って何だと思う?』
「何だろう。おしゃべり?音楽を聴く?」

すると"俺を見て"とソラに言われたので私は見つめた。

ソラが私に向かって微笑んでいる。
薄暗い街灯だからはっきり顔は見えないけど。

でも改めて見ると、ソラはカッコいいと思う。

幅の広い二重瞼の目。
大きすぎない鼻。
薄い唇。
ストレートの黒髪はサイトを少し固めてある。

少女マンガに出てくるイケメン男子を実写化したような顔立ちだ。

『その格好、無理しちゃってさ。そんな大人ぶることないよ。葉月は網タイツより、オーバーニーやハイソックスの方が似合う』
「でも、結婚式の二次会だから、カジュアルなわけにはいかないでしょ?」
『そうだね。よく頑張った』

そう言うと"ご褒美になるかな?"と言ってキスをされた。
ただ、唇が触れるだけのもの。

『ダメだよ、目は閉じなくちゃ』

そう言って、オールアップにした私の頭を撫でた。

『ひとつ聞いてもいい?』
「うん」

ソラは私を真っ直ぐ見つめたまま聞いてきた。

『この間の観覧車でのキスは、何回目?』
「は、初めてだよ」
『さっきお持ち帰りされそうになったのに?』

飯嶋さんは特殊な人間だと私は思うし、周りもそう言うし。
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