私に恋をしてください！

でもそんな依頼書をなぜソラは私に対してダイレクトに送ってきたの？

良く見ると、出荷希望のジャンルは文芸・・・しかもミステリー小説の3つの商品を各10冊。
しかもその店舗の開店は、明後日。

ソラのいる首都圏営業1部1グループが受け持つ2つの書店チェーンのうちのわかば堂書店ではない"春木屋書房"という、東京と神奈川県で書店展開をするチェーンの、あるショッピングモール内に開店する新規店の依頼だった。

この新規店の出荷は、以前に一度やった。
それこそ、きちんとソラと知り合う直前に手配をしたはずだ。

そうか、この新規店の担当は、ソラだったんだね。
出荷手配を取った時には全く意識していなかった。

「春木屋書房の新規店の件？」

私が電話の保留を解除して、ソラに確認する。

"最初に出荷依頼を一斉にかけた時、龍成社のミステリー本だけ抜けていたんだよ。開店時に入り口でミステリーフェアを展開するのに、そちらの本がないのは不自然だろ？抜けてしまったのは完全に俺のミス。できたら開店に間に合うように出荷してもらえると助かるんだけど・・・"