私に恋をしてください!
本来は書籍の出荷は中1日で一度販売会社の倉庫に搬入させ、各店舗にそこから振り分けられる。

が、開店が明後日であることを考えると、一度首都出版販売の倉庫に搬入させているのでは、とてもじゃないけど間に合わない。

ミステリー本の担当は私。
在庫管理や発注手配については、上司の確認なしで私がその全てを決定できる。
でも今回はソラのミスだから、あまりこちら側が金銭的負担を負うことをしてしまうと周りから理解されないだろう。

「3つとも在庫はあるから、即書店側に請求される注文条件で、しかも着払いでいいなら直接お店に送るよ」
"十分十分。それでよろしく頼むよ"
「住所はこの依頼書に書いてあるところでいい?明日のAM着でいいよね」
"大丈夫。清水さん、助かったよ。ありがとう。このお礼は必ずするから"

思いがけず、ソラの声が聞けた。
いや、そんなことは言ってられない。
すぐ伝票起こさなくちゃ。

これで少しばかり、ソラの仕事の役に立てると思ったら、すごく嬉しかった。

そんな手配をしている私の横に、なぜか遥香さんが来た。

『ねぇ、清水さんって柳井くんの知り合い?』
「え?は、はい。ちょっとした知り合い、です・・・」
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