私に恋をしてください!
そのため売上そのものが伸びず、その事実に立腹した著者が龍成社のその書籍から手を引き、他の出版社から中身をそのままで表紙だけを変えて発行をしたところ大ヒットとなり、テレビでも話題になったことから今週の売上ベスト10にも2週連続で1位になった。

「それでも葉月は今もうちの会社で部数交渉に出向いているわけですよね」
『あぁ。しかもその担当者は今もいるよ、書籍仕入部にね』
「平気なんでしょうか、葉月は」

"頼りなさそうな小娘を寄こすなんて、うちの部署もなめられたもんですね"と言われた相手と、今も仕事をしていると言うことか。

『平気ではないだろうな。でも清水があの事件を起こした後当時の部長からは見放されて、販売五部でしばらく買い殺しの状態が続いたことを思えばましだと思っているかもね』

葉月を傷つけた人間が、うちの社内にいる。
それだけでも俺はすごく腹が立った。

「悔しいです」
『ん?』
「そんな傷がついた時に、葉月に出会えてなかったから。出会えていたら、いくらだって助けてあげたいのに」
『どうやって助けるんだよ、新入社員のお前が』

陸が笑いながら言う。
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