私に恋をしてください!
『あと、入社してから清水は自分を変えようと努力していた。元々内向的な性格で営業には不向きなのを、人に取り入ることで何とか外交的なそれになろうとね。ただ、声を掛けた相手が桐生(キリュウ)だったのが人選ミスだけどね』
「桐生さん、ですか?」

桐生さんって誰だろう?
葉月が声を掛ける?
男性と話すことはきっと彼女にとってすごく勇気のいることだったろうに。

『あ、君は知らないか。うちの販売二部にいる、妻の同期でね。高松の彼氏だよ。彼女溺愛の桐生に声掛けたって、靡くわけないだろ?桐生は当然相手にしないし、だからさらに局内でもかなり"イタい子"のように扱われて、孤立していたな』
「そうですか・・・」

葉月が人選ミスしてくれて良かった。
だって・・・そうじゃなかったら、葉月みたいな人間は局内の男に喰われる。
飯嶋さんとも未遂だけど危なかったし。

「俺、葉月を育てると言えるほど、器の大きさはありませんが、一緒に成長したいと思っています」
『それを聞いて安心した。さて、2つめだ』

おかわりをしたビールを飲み切った健吾さんに、全く酔っている雰囲気はない。

『明日、わかば堂書店でクリスマスイベントがあるだろ?』
「はい。僕も手伝います。葉月も・・・ですよね?」
『そうだ。わざと俺が清水を指名したんだよ』
「ありがとうございます」
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