狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

ⅩⅩⅡ―ⅲ 狂い始めた歯車Ⅲ



そして、女官からアオイを受け取ったキュリオは彼女へ温めたミルクと水を持ってくるよう指示すると…そのまま広間を出て行ってしまった。


「キュリオ様…怒ってしまわれたのでしょうか…」


彼のあまりにも素っ気ない態度に、不安を隠しきれない女官。


「…姫様にあんな事が起きてしまったからのぉ…手元に置かねば不安なのかもしれんな…」


ガーラントはキュリオの心が痛い程わかる。長い時間…傍で彼を見てきたからこそ言えることだった。











…しかし、キュリオの心はそんなに穏やかなものじゃない…











階段を上がっていくキュリオは、まだ若干強張りの抜けていないアオイの体を優しく擦(さす)ると…自室に入るなり湯殿へと向かう。




足も止めず、歩きながらバスローブの紐を解き…アオイを包む寝間着を脱がせる。やがて肩から床へと落ちたバスローブもそのままにキュリオとアオイは白い湯けむりの中へと消えて行くのだった―――



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