狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅩⅣ―ⅶ 昼時の厨房へⅡ
「メレンゲで作った焼き菓子です!姫様に食べていただこうと作ってみましたっ!!」
「ジルありがとう、アオイもきっと喜ぶよ」
そして、キュリオがここに来た理由を把握したほかの料理人たちが空のボトルや鍋を用意してくれる。キュリオは礼を言いながらジルとはなし続ける。
「どうやら…アオイは普通の子より小食なようでね、ミルクの間隔をあけても少ししか飲まないんだ」
「…ふむふむ…食が細いのかもしれませんな…」
「あぁ、でも君がいるから…あまり心配はしていないよ」
「ご安心をキュリオ様!!儂にお任せくださいっ!!」
胸を張ったジルはガハハと笑っている。頼りにしているよ、と答えたキュリオは温めたミルクを布に包み、厨房を後にした。
(…今日は二階の広間で食事もいいな)
楽しそうな声の響く二階の通路。キュリオはさらにミルクの温度を気にしながら扉を開く。
「お待たせアオイ、食事にしようか」
「きゃあっ」
すでに赤子用の椅子に座りミルクを待ち構えていた彼女。女官たちはキュリオの食事の用意をするため、トレイを次々運んでくる。
「今日はね、ジルがアオイのためにお菓子を作ってくれていたよ」
「…?」
「ふふっ、ミルク以外を口にするのは初めてだね」
そんな話をしていると…ジルお手製のあの一品が運ばれてきた。
デザート用のグラスに綺麗に盛りつけられた…真っ白な泡のような菓子。焼き菓子だけあって綺麗な焼き目がついており、見た目にもとても美しい。