狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
XXXI―ⅶ ティーダとアオイ・ひとつの運命の歯車Ⅰ
スッと鋭く細められた彼の紅の瞳…。
―――ゴォオオォォ!!
禍々しくも美しい彼の孤高のオーラは青年の体を勢いよく包んでいき…そのまま背で大きく渦を巻くと黒い炎が美しい漆黒の翼をかたどっていった―――
「……」
青年の大きな手と炎に抱きしめられているアオイは、挑発的な視線を扉に向け不敵な笑みを浮かべている彼に悲しそうな表情を向けている。
今は敵意に満ち溢れた彼の切れ長の瞳。
(…ちがう…本当の彼は…)
いつも窓の外からこちらを覗き込んでいた彼の瞳は、もっと柔らかく…穏やかな眼差しだった気がする。
(また…わたしのせい…)
「…ん?」
そして、その悲しそうなアオイの視線に気が付いた彼は…
「…お前…」
「なんて顔しやがる…」