狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
XXXⅧ―ⅰ 大魔導師との再会Ⅰ
古木で作られた壮大な扉の前にたち、古びた金具に手をかけたキュリオはゆっくり扉をノックする。
―――コンコン
『はいっ、今開けます』
聞き覚えのある幼い声にキュリオはアレスが中にいる事を確信した。
―――ガチャ、ギィ…
重厚感のある扉が開くと、小さなアレスの視界には美しい銀髪をなびかせた憧れのキュリオが微笑みを浮かべて立っていた。
「…キュ、キュリオ様っ!?」
あまりの驚きにあたふたと足踏みするアレスに笑いかけたキュリオ。
「やぁアレス。あまり大きな声では言えないが…明日から君に新しい役目を与えようと思ってね」
はた、と動きを止めキュリオの言葉に瞳を輝かせたアレス。
「お、お役目でございますかっ!?私に…っ!?」
「良かったのぉアレス」
興奮気味の小さな彼の後ろから笑顔を含んだような穏やかな声が響いた。
すると…
「この声…ガーラント?」