狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

✿ショートストーリー☆キュリオの願望?そのLXXXⅢ

「そこでキュリオ…君にひとつ聞きたいことがある」


「は、はい…」


(未来に生きる人物を過去に呼び戻す…?セシエル様のお力も含まれて…?王とは一体何者なんだ…?)


キュリオの知る常識はもはや常識でない。早くも王がまったく別の存在であることを心底思い知らされた。


「彼女が今、お前の未来を変えようと必死になっているのはわかるね?」


「…はい」


「だが君はアオイさんの提案を拒絶した…」


「間違い…ありません」


「…けどね、今この時代に彼女がいるもうひとつ大事な意味があるんだよ。それをお前はどこまで知っているのかと思ってね」


「彼女がいるもうひとつ大事な意味…?もしや…セシエル様の未来をも左右するという事でございますか?」


「…それも少しは関係しているのかもしれない。アオイさんはとても優しい子だから…」


(大きく的を外しているわけではないが、これは正解ではない…となると…)


何かを掴んだキュリオがはっと息を飲む。そして恐る恐る発した言葉。


「…まさかっ…
ここでの選択肢が彼女の未来を変えるという事…ですか?」


「…ご名答。だが遅かったね。今気づいたところで…彼女の未来はそう大きくは変わらない。もう…変われないのさ」


「…だからっ…セシエル様は彼女にあの事を……?」


キュリオの震えが止まらない。セシエルのどうにかして変えたかった未来が…まさか自分達の事ではなく、アオイの未来だったとしたら…




「わ、わたしは…その邪魔を……」





< 628 / 871 >

この作品をシェア

pagetop