狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
✿ショートストーリー☆キュリオの願望?そのLXXXⅡ
―――コンコン…
『どうぞ』
「失礼いたします」
一礼してセシエルの部屋に入ってきたのはキュリオだった。
しかし、セシエルは窓辺に立ったままこちらを振り向こうとはしない。
「…アオイ…様にあのことをお話になったのはセシエル様ですね」
「あの事?」
あくまでしらを切ろうとする王に痺れを切らしたキュリオの声がわずかに低くなる。
「…とぼけないで下さい…王が民に命を狙われるという話です」
「それで?彼女は何だって?」
「あいつは…ひどく混乱していました。自分は未来から来た、そこでの父親が私だと。終いには…今なら私の物語を書き換えることが出来ると言い始めて…」
「…で、キュリオは何と答えたんだい?」
「五百年後に彼女を見つけ出し、その不安も迷いもすべて私が引き受けると答えました」
「キュリオ、お前は少し嘘をついたね」
ようやく振り返ったセシエル。彼の発言から察するに、アオイとの会話はすべてセシエルの耳に入っているのだろうと感じた。
(大魔導師より遥かに上をいくセシエル様のお力…侮っていたわけではないが、ここまでとは…)
むしろ彼に隠し事など不可能だろうとキュリオは思った。力を使う機会がないだけであって、セシエルの能力は現時点で最強だからだ。
「ヴァンパイアの王と冥王が危険なのは間違いではない。しかし…大虐殺が繰り広げられていたのはもう随分昔の話だ」
「…はい…」
「もちろんそれはアオイさんの心の負担を軽減させるために言った言葉なのはわかる。これで彼女の未来での不安もいくつか拭う事が出来ただろう」
「…セシエル様は彼女が未来から来た話を信じておられるのですか?!」
「君は違うのかい?」
スッ目を細めたセシエルの表情が冗談ではないことを意味している。
「…そんな、こと…あるわけが…っ…だって、一体どうやって…」
「いくつかの王の力が絡んでいる事は間違いない。もちろん私の力も含まれているけれどね…」
『どうぞ』
「失礼いたします」
一礼してセシエルの部屋に入ってきたのはキュリオだった。
しかし、セシエルは窓辺に立ったままこちらを振り向こうとはしない。
「…アオイ…様にあのことをお話になったのはセシエル様ですね」
「あの事?」
あくまでしらを切ろうとする王に痺れを切らしたキュリオの声がわずかに低くなる。
「…とぼけないで下さい…王が民に命を狙われるという話です」
「それで?彼女は何だって?」
「あいつは…ひどく混乱していました。自分は未来から来た、そこでの父親が私だと。終いには…今なら私の物語を書き換えることが出来ると言い始めて…」
「…で、キュリオは何と答えたんだい?」
「五百年後に彼女を見つけ出し、その不安も迷いもすべて私が引き受けると答えました」
「キュリオ、お前は少し嘘をついたね」
ようやく振り返ったセシエル。彼の発言から察するに、アオイとの会話はすべてセシエルの耳に入っているのだろうと感じた。
(大魔導師より遥かに上をいくセシエル様のお力…侮っていたわけではないが、ここまでとは…)
むしろ彼に隠し事など不可能だろうとキュリオは思った。力を使う機会がないだけであって、セシエルの能力は現時点で最強だからだ。
「ヴァンパイアの王と冥王が危険なのは間違いではない。しかし…大虐殺が繰り広げられていたのはもう随分昔の話だ」
「…はい…」
「もちろんそれはアオイさんの心の負担を軽減させるために言った言葉なのはわかる。これで彼女の未来での不安もいくつか拭う事が出来ただろう」
「…セシエル様は彼女が未来から来た話を信じておられるのですか?!」
「君は違うのかい?」
スッ目を細めたセシエルの表情が冗談ではないことを意味している。
「…そんな、こと…あるわけが…っ…だって、一体どうやって…」
「いくつかの王の力が絡んでいる事は間違いない。もちろん私の力も含まれているけれどね…」