狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

その65

「なぜ彼女は…昨日まで何ともなかったはずなのに…」


もはやアオイ様とは呼ばず…そう口にしたキュリオ。


「そうだね…少しお前に話しておきたいことがある」


「……」


ベッドから立ち上がり、窓の外を眺めながらセシエルは言葉をつづけた。


「聞いておくれ。彼女は私の創りだした特別な場所で大きなダメージをその身に受けてしまったんだ。見た目に外傷はなくとも、アオイさんが瀕死の状態だった理由がこれだ」


「…特別な場所…?」


アオイの部屋を出た時、偶然だと思ったがセシエルがすぐそこにいた理由がわかった気がする。"特別な場所"で負傷した彼女を気遣ったセシエルが急いでアオイの様子を見に向かったに違いない。


「あぁ、私にはやらなくてはならない事があったんだ。可愛いお前たちの幸せを守るために…」


「…その結果がどうなったか…お聞きしてもよろしいですか?」


アオイが痛手を負い、続行不可能と判断したセシエルが早急に戻って来たことまでは予想できた。

しかし、どう考えても分が悪かったに違いない。


「…正直どこまで行けるか…まるで歯が立たなければどうしようかとも思っていたのだけれどね。運良く、私の召喚に応えてくれた未来のお前が私を助けた。だが、その結果…とんでもない化け物が正体を現したということさ」


(…未来の私…)


自分が悠久の王となる姿など、幼いキュリオはまだ想像できずにいる。

そして…


「まさか…その化け物が彼女を…?」


セシエルの口から"化け物"という表現がなされた事から、窮地に陥った何者かが正体を現したことにより…二人がかりでも形勢逆転とはならなかったのだと考えられる。




「…違う。彼はむしろアオイさんに執着していた。ただわかることは…すでにお前たちが顔見知りだったということだ」




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