狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

その71



「…お父様、大丈夫です。私はなんとも…」


「…あぁ…確かにお前はここにいる…」


項垂れたキュリオが自身の額をアオイの左肩に預ける。サラリと流れた美しい銀髪を直(じか)に感じ、ビクリと体を震わせたアオイが自分の体を見つめると…


「…っ…!?」


(私どうしてっ…こんなに着崩れてるの!?)


キュリオが気づく前に、と慌ててその身をよじらせたアオイだが…


「……?」


突如舞い降りた一枚の花びら。


不思議に思いながらも右手を差し出したアオイの手の中でそれは輝いて弾けた。



(…なんて綺麗な光の花びら…)



次々に降り注ぐピンク色の淡い輝きにアオイの瞳はキラキラと輝いて胸が高鳴る。


「…これは…魔法?」


「…もしかして、お父様が?」


ぱっと花が咲いたような笑顔でキュリオを振り向いたアオイが見たものは…






"…ずっとお前に見せたかった魔法だ…アオイ……"






頬を染め、満面の笑みを浮かべた幼いキュリオの面影だった―――。













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