狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

それぞれの想いⅢ


おかしい事はわかっているものの…これ以上彼を問い詰めるのは可哀想だ。

やはりアレスにも立場というものがあり、無理に聞き出すことは彼を苦しめることになる。


「うん…わかった。なら…カイに会ったら伝言をお願い」


「"ありがとう、行ってきます"って…」


その時、立ち去る間際の彼の言葉を思い出したアレス。


『…お見送りは難しそうだな…。いってらっしゃいませアオイ姫様…』


「…確かにお伝えいたします。"いってらっしゃいませアオイ姫様…"」


せめてカイの言葉を…と、これがアレスの精一杯の優しさだった。


「…いってきます」


そうとは知らずにバッグを手にしたアオイは寂しそうに部屋を出て行ったのだった―――。



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