狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

旅のしおり

(お父様の荷物、帰りはカイが預かるって言ってたよね…タイミングさえ合えばどこか一緒にまわれるかな?)


不安な気持ちを払拭するようにアオイは楽しい事を考えるよう努めた。

二泊三日の交流会のしおりをバッグから取り出し、階段を下りていく。

表の部分には生徒たちが描いた可愛らしいイラストが表紙を飾っており、それをめくると引率の教師たちの名がずらりと並んでいるのだった。


(…アラン先生のところ太文字になってる…)


生徒に留まらず、教師からも絶大な人気を集めるキュリオにアオイは小さく笑みをこぼした。


(…先生たちの演劇…?一日目の夜にそんなことまでやるんだ…)


アオイはふと普段のキュリオを思い返してみる。


(お父様が何かを練習していた素振りは見せなかったけど…学校でやってたのかな?)


お題はなんだろう?とウキウキしながら広間を目指して歩く。


「おはようございます姫様」


「おはよう」


一人の家臣がにこやかな笑顔を向けながら広間への扉を開いてくれる。


「キュリオ様がお待ちでございます。どうぞ中へ」


「うん、ありがとう」


一歩踏み出したアオイの視線の先に…真っ白なテーブルクロスの上にところ狭しと並べられた朝食とは別にスイーツのみが飾られた小さなテーブルが飛び込んできた。


「あ…」


思わず駆け出したアオイに控えていた侍女が優しい微笑みを浮かべ、小箱を広げて待ち構えている。

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