狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

見たことのない料理

「なにこれおいしい!ふわふわなのにしっとりしてて…原料はなんだろ?」


ミキはぎこちない箸を懸命に走らせながら、何かをつまみ上げた。


「はい、そちらは鯛のすり身でございます。縁起物の高級魚ですわ」


「たい…?」


またも聞き慣れない言葉だが、アオイは聞いた話の詳細をしおりに書き込んでいる。


「あ…大和撫子さん、こっちはなんですか?」


すっかり彼女の名であるかのようにそう呼び続けているアオイは、皿の上に敷かれた紙に乗る不思議な食べ物を覗き込んだ。


「海老の天婦羅です」


「てんぷら…このさくさくした物は鯛のすり身を使っているんですか?」


「…いいえ、そちらは…」


一体どのような思考をたどればそうなるのか…
と、"大和撫子"は思ったが口には出さずに説明を続けようとする。


すると…


廊下の向こうから人の争う声が響く。


『こ、困りますっ!お客様!!』


『ちょっとおどきになって!アラン先生の匂いがしますの!!』



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