狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

高潔な魂

『女神様の中にも…紅蓮の炎に焼かれた方々がたくさんいると聞きました…』


『…安全の上に成り立つ戦いなど有り得ない。力のある者が危険にさらされるのはしょうがないことだ…』


それを承知でキュリオは王位に就き、今もこの国とアオイを守るために存在し続けている。


(でもそれは…最も力のあるお父様が一番危険な立場にたたされているということ…)


『…私は嫌です。お父様が危険な目に合うかもしれない事や、民のために戦って失われた女神様の命が当然のように扱われるのは…』


『……』


代々の王も、自ら命をかけた女神たちの高潔な魂に敬意をあらわそうした結果、今に至っているに違いない。


だからこそアオイはいつまでも首を縦に振るわけにはいかないのだ。


すると…黙って聞いていたキュリオが口を開いた。


『…あぁ…』


『…アオイはかつての女神たちがどんな者だったか知りたいと言ったね…』


『はい…』


『きっとお前のような優しい心を持っていた者たちだったのだろう…』



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