狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
Ⅸ―ⅶ 加護の灯
(…何が始まるんだ?)
幼い二人は顔を見合わせ、ブラストの横から顔を出す。どこからか出された台座のようなものにそれは固定されている。
それに近づいたキュリオはゆっくり目を閉じていく。
すると彼の背にまばゆい光が集まっていき…それがひとつのカタチになるのは一瞬だった。
「つ、翼だ…」
彼の身長よりも大きく真っ白な翼が広間全体を明るく照らす。日の光よりもあたたかく、よく見るとその翼は白というよりも銀色というほうが正しい色合いを放っていた。
キュリオが片手を胸元まで持ち上げると光が球体のように集まり、一枚の羽を象っていく。
「銀の炎が宿されていると聞いていたけど、その炎の正体ってキュリオ様の翼の一部だったのか…」
アレスは居ても立ってもいられずブラストの隣へと並ぶ。
「翼ってのは各国共通の"王の証"だからな。王の一部を預かる使者を装った偽者なんてのは絶対不可能なんだ」
ブラストは教官らしく二人に教えを説いている。
「なんかすげぇや…」
アレスはよく悠久について勉強しているためある程度知っていたこともある。しかし、カイは全くと言っていいほどそのような知識がなかった為、ただただ驚くことばかりだった―――