薫子様、一大事でございます!

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事務所内にいい香りが漂っていることに気づいたのは、星野さんを見送った後のことだった。


この匂いは……



――カレー!?



ハッとしてキッチンを見る。

すると、滝山がエプロンをして鍋をグルグルと混ぜているところだった。


慌てて駆け寄る。


「滝山が作ってくれちゃったの!?」


立ち上るスパイスの香り。

思わずクンクンと鼻を鳴らした。


「はい。薫子様が帰ってくるのをお待ちしていたのですが、待ちきれなくて」

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