薫子様、一大事でございます!
「それって、宝石とかも?」
このところはめっきりご無沙汰だけれど。
「そうですね。女の子なら誰だって好きだと思います」
言ったそばから、唇に人差し指を押し当てられた。
「はいはい、その敬語はここから先はストップだからね」
「……はい」
そういえば、北見さんはどうしたかな。
グルリと店内に視線を流す。
……いた。
入口に一番近いテーブル席に見つけた北見さんの姿にホッとする。
遠すぎてはっきりとはしないけれど、何となく合った視線。
北見さんがかすかに頷いたように見えた。