薫子様、一大事でございます!

「それって、宝石とかも?」


このところはめっきりご無沙汰だけれど。


「そうですね。女の子なら誰だって好きだと思います」


言ったそばから、唇に人差し指を押し当てられた。


「はいはい、その敬語はここから先はストップだからね」

「……はい」


そういえば、北見さんはどうしたかな。

グルリと店内に視線を流す。


……いた。


入口に一番近いテーブル席に見つけた北見さんの姿にホッとする。


遠すぎてはっきりとはしないけれど、何となく合った視線。

北見さんがかすかに頷いたように見えた。

< 283 / 531 >

この作品をシェア

pagetop