薫子様、一大事でございます!
――そんな!
尾行する立場の私が尾行されていたなんて!
しかも、それに気づきもせず……。
「ずっと機を見計らっていました。薫子さんが一人になる隙をね」
ずっと見張られていたんだ。
北見さんが事務所を出たのを見計らって、刺客をよこした。
「まさか、涼夜と一緒にいるとは思いもしませんでしたがね」
「えっ……?」
今、“涼夜”って言わなかった?
……北見さんを知ってるの?
「それより驚いたのは、薫子さんがすんなりこの車に乗ったことですよ」
「――っ」