薫子様、一大事でございます!
「熱いお茶でも淹れようかしら」
適当に誤魔化した。
「そうですね、そういたしましょう。では、私が」
腰を浮かしかけた滝山を制す。
「私が淹れるわ」
「よろしいんですか?」
「北見さんはコーヒーがいいですよね?」
「コーヒーあるの?」
北見さんが顔をパッと輝かせる。
「はい。実は芙美さんから差し入れていただいて。インスタントでよかったら」
この前の滝山と北見さんのやり取りを見ていた芙美さんが、早速持ってきてくれたのだった。
芙美さんには、本当に良くしてもらいっぱなしだ。