薫子様、一大事でございます!
「インスタントでも何でも。ちょうどコンビニにでも買いに行こうと思ってたところだったんだ」
よっぽど嬉しいらしい。
北見さんは、お湯を沸かそうと立った私の後についてきた。
ヤカンに水を注ぎ、ガスを点火する。
その様子をじっと隣で見る北見さん。
「砂糖も何も入れなくていいよ」
「ブラックが好きなんですか?」
「うん」
そういえば、甘い物は苦手だと言っていたっけ。
芙美さんにぼた餅を無理矢理食べさせられたときのことを思い出して、思わず笑ってしまった。
「……何?」
そんな私の顔を横から覗き込む。